●TELFUNKEN のEL156がやって来た●
2000.9.23
2001.8.23 revisied
中国製のEL156もなかなかのものでしたが、とうとう「本物」TELFUNKEN のEL156を入手しました。ソケットアダプターの製作を含めて、「富嶽」に新しい真空管を搭載する方法をご紹介します。
左がTELFUNKEN のEL156、右が中国製のものです。足が中国製はオクタルなのにたいしてオリジナルは10PINです。足の形状そのものも抜け止めのためくびれ部があります。このためEL156やF2a11のドイツ製の有名な球を使おうとすると、こに特殊なソケットも入手しなければなりません。今回は幸いにもソケット付きでした。電極構造は殆ど同じですが、頂部の冷却フィンの形状が少し違うのと、リングゲッターが中国製はサイド(CRのマークの後ろ)に1個なのに対して、オリジナルでは頂部に2個付いています。
ソケットは落とし込み用の飾り板に付いています。複雑な形状なのでソケットを外さずにこのまま利用します。ジグゾーで銅板をダンベル形に加工し、2枚の飾り板を連結します。各端子をリード線でオクタルプラグに繋ぎます。サポートの「足」を付けて完成です。
これまで最大であった6C33用のアダプター(右)より更に大きくなりました。
アダプターはオクタルの後ろにあるUX用のソケットの上に浮かせて取り付け、UXの穴の間にあるサポートにネジで固定します。信号や電源は手前のオクタルソケットにプラグを差し込む事によって供給されます。
「富嶽」のリアビューです。+B電圧は右側にあるのオクタルプラグを差し替える事によって変更します。スイッチによる切り替えは、でうっかり高電圧が掛かっていて球を痛める事があるのを防ぐためです。500V、400V、250Vの3種類です。その右にあるスイッチのON-OFFで更にプラス30V、+B電圧を上げることができます。
左のスピーカー端子の間にあるトグルスイッチは、出力段の差動−非差動の切り替えと、差動時の電流値を切り替える為の物です。今回は非差動に設定してあります。
こうして「富嶽」にEL156を搭載した状態です。火入れに続いて、「完成検査」です。
| NAME | 結合 | Ep(V) | Eg(V) | Eg2(V) | Po(W) | 無信号時Ip(mA) | 最大出力時Ip(mA) |
| EL156(文献) | 5結 | 800 | -18 | 350 | 130 | 50 | 240 |
| 同 上 | 5結 | 600 | -13.5 | 300 | 65 | 36 | 190 |
| EL156(富嶽) | UL | 490 | -28.8 | --- | 57 | 80 | 126 |
| 同 上 | UL | 415 | -21.9 | --- | 40 | 100 | 126 |
Ip(mA)は真空管毎の値で、OPTでの電圧降下から測定しています。
EL156は最大プレート電圧は800VでKT88と同じですがプレート損失は50Wと一回り大きな規格になっています。しかし、スクリーン・グリッドは三結で500V、5結で450VとKT88より低目です。「富嶽」では800Vは出せません。またスクリーングリッド電圧も200V固定です(これはもう少し上げられるようにしたい)。ここは50Wというプレート損失を最大に利用してULでA級に近いAB級の動作としました。スクリーングリッドの定格ほぼギリギリの490V(無信号時)では、5結の600-300Vとほぼ同等の57W出ています。「富嶽」はカソファロになっていますから、AB2級としての動作により同じプレート電圧でも大きな出力が得られています。
「富嶽」動作真空管一覧では、525Vで61Wとなっていますが、スクリーングリッド耐圧を少しオーバーしています。中国製ならではのトライアルでオリジナルでは・・・(笑)。
音は、まだエージングが済んでいないので確かな事は言えませんが滑らかさでは中国製の方に分があります。また中国製に比べて発振し易いようで、これまで異常のなかったシングルユニバーサルアンプ「BIG−ONE」で正常に動作しませんでした。このことは「富嶽」動作真空管一覧の中国製EL156が、プレート電圧の割にバイアスが深い事とも関係しているように思われます。
TELFUNKEN EL156はシングルで 2001.8.23
TELFUNKEN と中国製EL156の音を「富嶽」で聴き比べて来ましたが、同一型番の球とは思えぬほど音色は異なり、TELFUNKENはクッリハッキリとメリハリのある音、中国製は音の輪郭では負けますが柔らかい音です。
そこで「禁断」の出力段差動をTELFUNKEN EL156に施してみました。するとまたまた音は一変。音の輪郭はそのままに、非常に艶のある音になりました。これは絶品です。しかしながら、バイアス-10V程度の球を両球のカソードを直結した差動回路で使い続ける(しかもこのような高価な球で)、のは万一の場合のリスクが大きすぎます。これは「盆と正月」の楽しみにしておくことにします。
EL156はこれまでかと思っていましたが、とある日「球友」が自作300Bシングルアンプの比較試聴にこられ、ついでにTELFUNKEN EL156をシングルでというリクエストがありました。以前発振したのより少しゆるめの条件にて「BigOne」で鳴らしてみました。するとこれまでのPPとはまた違って、すっきりとした透明感のある音で、ブラインドなら直熱管と言って通る音でありました。アダプターの4隅にスペーサーの足をつけてBig−Oneで常時使っております。
文献ではシングルでも25Wも出ますが、BigOneのスクリーングリッドは210V固定なので16.3W止まりでした。この出力は中国製も同じでした(BIG-ONEの真空管別作動条件一覧)。通常は、プレート電流を100mA以下にして負荷を軽くしています。プレート電流を小さくすると発振もしなくなりました。
| NAME | 結合 | Ep(V) | Eg(V) | Eg2(V) | Po(W) | 無信号時Ip(mA) | 最大出力時Ip(mA) |
| EL156(文献) | 5結 | 450 | -10 | 280 | 25 | 112 | 108 |
| 同 上 | 5結 | 400 | -10 | 210 | 16.3 | 125 | 115 |